2024/4/1
担当 / 代表取締役 平井 伸幸
しかし最近では美容資格を持たず、美容室経営の経験もなく、独立する方もいらっしゃいます。私自身もそのひとりで、美容師免許を持っていませんが美容室を複数店舗経営しています。
今回は美容師免許がない方の美容室経営のポイントを書いていきます。
目次------------
(1) 資格なしで美容室を開業するのは違反なのか?
(2) 資格のない美容室経営者が直面する課題と解決
(3) 美容師の資格がないオーナーの成功例
(4) 資格がない美容室経営者のメリットを活かす
(5) まとめ
--------------
(1)資格なしで美容室を開業するのは違反なのか?
50代サラリーマンの方が、脱サラして美容室経営をしたいと今月当社にご相談に来ました。
学生の頃から美容師をやりたいと思っていましたが、様々な理由で断念し、サラリーマンをやってきました。50代になり自分の残りの人生を考え、夢を叶えてみたいと考えているそうです。
サラリーマンとして非常に優秀で、海外でのビジネス経験も豊富な方ですが、美容業界のことは不案内。そこでネットで調べる中、当社に興味を持っていただきました。
美容師資格なしで開業するために乗り越えるべき課題
美容師資格がなくても美容室は開業でき、法的に全く違反ではありません。私自身も美容師免許を持たず複数店舗経営しています。
しかし、資格なしで独立するためには乗り越えなければいけない課題があります。
開業にあたり必要になる2つの手続き
開業にあたっては、次の2つの手続きが必須です。
- 保健所の開業届
美容室は保健所の管轄で、開業にあたり許認可が必要です。その際に美容師資格と管理美容師資格の提出が必要になります。
- 融資を受ける金融機関の審査
開業の際に融資を受ける場合、金融機関で審査が通らないことが多いようです。
美容師免許を持つパートナーを見つける
そして、何より大切なのは美容師免許を持つ社員や共同代表等パートナーの存在です。
美容師免許がある社員を雇用できれば良いですが、その社員が離職する時にまた別の美容師を探さなくてはいけなくなります。
家族のように、信頼できる人が一緒であればよいのですが、資格がなく美容室を開業する場合、このリスクを常に持ち続けることを理解しなければなりません。
(2)資格のない美容室経営者が直面する課題と解決
たとえばコンビニのオーナーとして新規開業する場合と比較すると、美容室経営の難しい点は主に3点あります。
スタッフの採用
美容師は国家資格であり、採用が難しい職種のひとつです。条件を良くすれば採用できるとも限りません。
私は多くの美容室経営者に会いますが、採用がうまくいっている人はごくごく限られ、ほとんどのオーナーにとって採用が最大の悩みです。私自身も美容師の採用にもっともお金と時間と労力を注ぎ込んでいます。
他の業種よりこの点は非常に難易度が高いと言えるでしょう。
また美容師資格がない経営者にとって、1人目に採用する人は、幹部になれる人でなけばいけません。自分自身が現場ができないので、幹部に任せざるを得ないからです。
離職しない幹部クラスを採用できるのかが、もっとも重要な課題です。
スタッフの教育
美容室はサービス業であり、美容師の技術とサービスに対して対価をいただきます。飲食チェーンのように誰でも同じ商品を提供することができるわけではありません。
施術を担当する美容師の腕に依存する部分が大きいです。
美容師を採れたとしても、売上を伸ばしていくためにスタッフの技術力とサービスレベルを上げる必要がありますが、自分自身ではそれができません。
マニュアル化や、あるいは外部指導者によってできる教育はかなり限定的です。トップスタイリストが採用できたとしても、本人だけではなく店舗全体でできるようにするには、教育体制の構築が非常に難しくなります。
スタッフとの協力体制
サービス業である美容室は、日々いろいろな問題がおきます。美容師免許があり、経験者であるオーナーの場合だと大したことでなくても、免許のないオーナーでは解決困難な課題になりやすいです。
例えば
- 技術的なクレーム
- スタッフの突発的な休みや遅刻
- お客様のニーズをつかんだ企画やキャンペーン
- スタッフ同士の不仲や衝突
- スタッフのモチベーション向上 など
現場ができないからこそ、オーナーとして何ができるのかを考え、スタッフとの信頼関係の構築が重要です。
(3)美容師の資格がないオーナーの成功例
資格がない美容室経営者の事例をご紹介します。いずれも、重要なポイントはスタッフとの協力体制の構築です。
事例1)後継者
親の美容室を引き継ぐ人が多くいます。私も親からではありませんが、従業員から事業承継しました。最近では美容師免許を持たない後継者も多くいます。
後継者の場合は、美容師の社員がいてくれるのが最大の強みです。先代の作った経営基盤があるのも大きなメリットです。
しかし、その立場にあぐらをかいていては、社員から見限られ離職を招きます。そのような事例も多くみてきました。
自分に世代交代しても、社員が働いてくれることへの感謝をし、幹部との良好な信頼関係づくりができれば、安定経営ができます。
先代からの事業基盤を引き継ぎ、自分の強みを経営に活かすことができれば、飛躍できるでしょう。
事例2)異業種参入
異業種からの参入も増えてきました。
丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスが、ヘアカラー専門店「fufu」に資本業務提携し、美容業界に参入した事例が有名です。
ここまでの規模でなくても、事業基盤がある企業が、店舗ビジネスとして美容業界に着目し、参入してくる事例が身近でもあります。
たとえば最近では、ネットマーケティング会社が新規事業で美容室をはじめる相談がありました。
ネットマーケティング会社は、集客には自信があります。専門家の方たちから見ると、美容室の集客は簡単に見えるようです。
- ホットペッパービューティでの勝ち方
- SNS活用
- WEB集客
など、自社の強みを発揮すれば、多店舗出店が可能と考えています。
このような独自の強みがある経営者にとっての重要課題は、シナジーの発揮と、美容業界に詳しいパートナー選定になります。
事例3)脱サラ
冒頭にご紹介したように、脱サラをして独立開業を目指す方がいらっしゃいます。しかし、知見経験がない、事業基盤もない、シナジーもないとなると相当ハードルが高いかもしれません。
だからこそ、何のために美容室をやりたいのか、という理念が大事です。
スモールビジネスで、粗利が高く、将来もなくならない美容業界は決してギャンブルにはなりません。
美容師免許のある社員がいて、その社員との協力体制が取れ、そして信頼できるパートナーがいれば、十分勝算が立ちます。
冒頭の方は、M&Aを検討されています。不採算で売りにでている美容室を買い取って、当社のサポートをえながら夢である美容室経営にチャレンジされます。
(4)資格がない経営者だからこそできる成長のヒント
資格がない経営者だからこそできる、美容室成功のヒントがいくつかあります。
私自身は美容室のメインである美容師の仕事、サロンワークができません。しかし美容師の代わりにできる経営者の仕事はたくさんあり、免許がない美容室経営者が意識すべきはここなのです。
他業界で経験してきたことを美容業界にうまくあてはめることができれば、成功できる可能性があります。
他業界から適用できるポイントを4つご紹介します。
- 人事戦略
採用・・・ターゲットをきめて戦略的に行う採用活動、求人広告
人事制度・・・時代にあった働きがいのある人事制度構築
教育・・・教育カリキュラムや外部講習などの仕組みをつくる
- マーケティング戦略
集客・・・WEB集客、SNS集客
リピート施策・・・クーポン、キャンペーン、CRM
単価アップ・・・プライシング、キャンペーン、店販、通販
広報・・・ブランディング、ファンづくり、地域貢献
- マネジメント
目標管理・・・MBO、KPI管理
チームビルディング・・・ミーティング、目的共有、役割分担
- 財務戦略
管理会計・・・店舗別、個人別試算表、コスト管理
資金施策・・・借入、投資回収計画、補助金や助成金
(5)まとめ
美容室は資格がなくても開業できます。しかし資格が無ければ「ひとりサロン」はできないため、最初からチームワークで経営していくことが必須です。
チームで勝っていくためには、中長期的なビジョンと独自の強みをつくらなければいけません。
その第一歩として、「自分は何のために美容室を経営するのか」、「自分の強みは何か」を文章化してみましょう。
私自身が資格のない経営者です。多くの美容室オーナーのアドバイザーもしていますので、詳しい話が聞きたい方は、ぜひお問合せください。
<レボルへのお問い合わせはLINE公式またはお問い合わせフォームまで>
美容室でのコロナ対応おすすめ記事
社員でコロナ陽性者が出て、私自身(代表取締役社長 平井伸幸)も陽性者になりました。
実体験として「美容室のコロナ陽性者への対応」について追記します。
緊急事態宣言が解除されましたが、WITHコロナの長期化、第2波のおそれ、美容室でのクラスター発生と予断を許しません。
基礎編にくわえて、応用編では、すこしハードルは高いですが、ここまでやればお客様に向けアピールできる感染予防をあげてみます。
スタッフが発熱!?体調が悪い!?
美容室オーナーは一気に不安になります。
もしもそうなってしまった場合の対応は?
◎はじめてのオーナー様、「仕組みで売上が上がるレボルシステム」についてはこちら