美容室の同族経営、子供への事業承継

担当 / 取締役 副社長 平井 伸幸

レボルでは、美容室の事業継承セミナーを開催しております。ご参加頂いたオーナー様の個別相談をしていますと、同族経営ならではの問題点や成功事例が見えてきます。

 
■ 同族経営とは
 
同族経営とは、特定の親族などが支配・経営する組織のことを指します。ファミリー企業ともいいます。
 

 
お父さん・お母さんと娘で経営・・・のように美容室では多いパターンです。社員はいたとしても、実質的な支配を親族でしていれば、同族企業となります。
 
そうすると、ほとんどの美容室は同族経営になっていますね。
 
一般的には、「ファミリービジネス≒中小企業」というイメージがありますが、出資比率が低くても実質的に支配している場合は該当しますので、例えば、トヨタ自動車、竹中工務店、サントリー、キヤノンなどもファミリービジネスといえます。
 
■ 同族経営のトラブル
 
(1)親子関係
ずっと一緒にいる関係ですから、「言わなくてもわかっている」という暗黙の関係になりやすく、対話が減っていくのが一般的です。親はいつまでたっても、「あいつはまだまだ足りない」と思い、子供は「いつまでのうるさい、任せてもらえない」と思っています。
 
仕事柄、親子間トラブルの間に入って解決を促す場面がありますが、間違いなく、感情的な意見のぶつかりあいになり、論点がずれ、解決が困難になっていきます。
 
また、親が60歳や70歳を超えてくると、保守的になるのが一般的で、逆に子供は挑戦的で意見が合わなくなっていきます。携帯やPCなどついていけなくなります。
 
サロンの売上アップのため、他人同士、社員同士だと大きな問題なく協力できることも、親子間独特の関係でこじれていきやすいです。
 
(2)待遇・処遇
後継者が地位に固執する傾向があり、うまくいきません。また処遇が高い事を当然と考え、それに不満をいうことも多いです。親が処遇で甘やかすのもよくありません。
 
(3)家業と実業の違い
「家業」は家族で支配しますが、ある程度の規模になると「企業化」しなければならなくなります。
 

 
①家族以外の他人の能力を評価し活用する
②自ら、公私を完全に分ける
ここには大きな課題、壁があるようです。ほとんどのサロンオーナーが乗り越えようとしません。
 
(4)支配権・継承の時期
社外から息子や親族が帰ってきて、承継するパターン。長く働いている社員の理解を得るためには、相当の時間と能力、さらに努力が必要。
株について理解が浅く、兄弟間で分散したり、叔父・叔母・古参社員などで分割してしまうと、大問題になります。株主が多くなるほど、後継者からみると金銭的負担、手間や面倒が増えます。
 
■ 同族経営、承継の成功法則
 
(1)支配権=株式の問題を解決
次期社長に株式は集中させる。相続で発生する金銭・不動産は他の親族に、株式だけは次期社長に集中させ、分散をさける
 
(2)経理は社外の税理士か、親族外の社員に担当させる
経理を奥さんがやったら、公私混同にどツボへ。経理システムをつくり、家業を脱出。
 
(3)兄弟は入れない
会社に入れる兄弟はひとりにすべき、親族が増えれば増える分、諸問題は増えることを覚悟。
 
(4)子供(次期社長)世代の幹部をつくる
社長引退後、古参の社員が残ると次期社長(=子供)がやりずらい、次期社長(=子供)の右腕づくりを現役の間に手を付ける、また古参社員の扱いは自分が責任取る。
 
(5)承継後は口を出さない
子供に引き継いだら、極力ほっておく、自ら出ていくクセを直さないと、後継者は育たない。月1回程度ミーティングをして方向性の確認、助言のみで十分。
 
 
オーナー様、人生・想いのこもったサロンを、子供など親族への継承しようと思い、課題が出るようでしたら、ぜひご相談下さい。レボルではサロンオーナー様のハッピーリタイアを支援しています。