他業種事例から美容室経営を考える

担当 / 取締役 中村 文男

私の知人が、3年前に北関東の人口1万人足らずの田舎町で中古車センターを創業しました。周囲が畑で、物置小屋になっていた倉庫を改装してのスタートでした。
そういう立地で、果たして商売が成り立つのか心配でしたが、なんと創業以来黒字を続けているそうです。
どのようなやり方をしているのか、知人に聞いてみました。

 
ネットオークションで車を仕入れ、中古車情報誌に広告を出して、インターネットのホームページで会社と車を紹介。問い合わせを頂いたお客さんとメールや電話でのやり取りで商談が成立。整備や納車は専門業者に依頼する。ほとんどのお客さんとは、顔を合わせることも無く、納車が完了する。
 
大切なのは如何に良い車を仕入れるか?ほぼ毎日、全国のどこかでオークションが行われているので、狙いを決めてオーダーを出す。それでも、価格面などで折り合いが付かず実際に落札できるのは10%以下。良い車とは、回転の早い車で、2ヶ月以内に売り切る。そして、粗利が50万円以上見込める事。
 
業界に10年以上いるので、どの車が、どの様なお客さんに人気があるか!幾らなら売れるか?から逆算して、妥当な価格の車にオーダーを入れる。
 

 
最初の頃は、100万円前後の車も置いて、200万円前後の国産車をメインに取り揃えて、月に5台~10台売れていた。
 
全てを一人で仕事をしており、受注から納車までの手間はほぼ同じなので、最近は台数を多く売るよりも、台数は少なくても、粗利の良い、価格は300万円以上の外車にターゲットを絞っている。
 
3ヶ月前に仕入れたフェラーリは2週間後、関西の方に1800万円で売れた。先月仕入れたランボルギーニも1ヶ月後、北陸の方に1500万円で売れた。高級外車になると、粗利が200万以上になる。
 
ホームページに年式や走行距離は当然だが、装備や車内の状態など、20枚近くの写真をのせて、実際に車を見なくても、判断できるように工夫している。
お客さんは、ほぼ日本全国に広がっており、お店の半径10キロ圏内で購入されたお客さんは、ほとんど居られない。
 
そして働き方としても、日中に集中して働き、残業はほぼゼロ。休みもしっかり取って、家族との触れ合いの時間を大切に出来ている。
 

 
このやり方は、10年前までは成り立たなかったと思います。私が育った田舎町で、フェラーリやランボルギーニ、マセラッティなどが物置小屋を改造した店で売れるなど、想像もできませんでした。
 
それまでは、お店の立地が大切であり、半径10キロ圏内が主な商圏になっていたと思います。成功のポイントは、知人が言っているように、お客さんのニーズがあり、粗利が確保出来るという、仕入れの目利きに掛かっています。また、3年間の中でも変化してきたように、ターゲットを明確に絞り、そこに特化したことです。
 
そして、高価な買い物をされるお客さんに、信頼して頂く姿勢をメールのやり取りや、電話での応対などで貫いていることだと思います。
 
美容業界においての商圏は、それこそ立地や営業方針にも依りますが、主に3キロ~5キロ圏内がメインになると思います。また、インターネット上で受注から納品が完了する仕事ではありませんので、上記の中古車販売事例とは異なります。
 
しかしながら、経営の観点から見れば、ワークライフバランスを整えて仕事とプライベートを両立し、お客さんのニーズに応えながら、利益を残すためには?からターゲットを絞り込み、そこに特化していくことは、美容室経営においても、大いに参考になるのではないでしょうか!