アパレル業界から学ぶ、美容室の今後

担当 /取締役 副社長 平井伸幸

 
美容業はちょっと広い視点でみると、「キレイ・おしゃれを楽しむ」という意味でファッション業界が近くにあります。その業界が苦戦中、異業種から学んでみましょう。
 
■市場が縮小
アパレル企業、とくに百貨店を中心に店舗展開する企業は、かつて経験したことのない苦境に喘いでいます。1991年から2013年の間に市場は15.3兆円から10.5兆円まで縮小しているそうです。
 
市場が1/3に縮小するのをわかりやすく、ガソリンスタンドをイメージするといいかもしれません、車を運転する方はガソリンスタンドが減った事を実感できるのではないでしょうか?この感覚が市場が1/3になるという事です。

今年5月に上梓された『誰がアパレルを殺すのか』(日経BP社)は大きな話題を呼んでいます。
さっそく購入してみました。
(妻がアパレルで働いているので、家庭的にも重要な問題です。。。)
 

■ 消費者ニーズの変化
__なぜアパレル業界は「死」に追いこまれたのか。それは、劇的な消費者の価値観の変化に、企業がついて行けず、近視眼的な対応を繰り返した結果。
 
__「アパレルの市場を中心的に支えていたのは女性ですが、景気の悪化もあって、彼女たちが社会に出て共働き化が進んだ。その結果、彼女たちは、働いたり、普段の生活をするための服しか買わなくなった。ビジネスカジュアルならZARA、パート勤務ならH&Mでいいという具合です。彼女たちは『着飾る文化』から離れ、服は『ファッション』から『生活用品』に変わった。これが、アパレル苦境のいちばん大きな要因だと思います」
 
美容業界にもあてはまってしまうのでしょうか?ヘアスタイルを楽しむ、おしゃれにする、着飾る、から最低限の生活スタイルになってしまうでしょうか?
アパレル同様、リーズナブルなカット専門店、カラー専門店の飛躍は、このような消費者ニーズの変化が背景にあると考えられます。
 
■ 品質を下げるコストカット
__「’90年代にバブルが崩壊し、ものが売れなくなりファストファッションが台頭する中、アパレル各社は目先の売り上げを立てようと、生産拠点を中国に移し、大量生産でコストカットを図ってきました。
 
__国内のマーケットは縮小しているにもかかわらず、製品の品質には目をつぶり、過剰に製品を供給することで生き延びようとしたのです。しかし、それがいま自らの首を絞めている」
 
圧倒的品質差があった、大手アパレルとファストファッション。あっという間にデザイン性でも機能性でも、差が縮まってしまったのです。
 
美容室も競争は激しくなっています。格安店、隣の美容室のキャンペーンに追随し、安売りに走るサロンは多いと思います。
美容業も市場は縮小しています。個々の戦いが増すことで、全体がますますクビを閉める方向に向かっていると思いませんか?
その追随戦略が、本当に勝てる戦い方なのでしょうか?
 

■ 差別化が重要
レボルは美容師をOL以上の労働環境で、一生働ける仕事にしたいと思います。そのためには、単価を安くする戦略をとりたくありません。であれば、提供する品質をあげお客様に付加価値を感じて頂けるようにしなければいけません。
 
あれもこれもできませんから、自サロンのターゲット顧客を明確に絞り、その顧客にどのような価値を提供するのか、さらにその価値を高めるために、どのように努力していくのか。
 
まだ美容業は恵まれている方です、しかしこの先、さらに競争がすすみ真の実力と企業努力が求められます。